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メールマガジン
[Vol.071 2023年5月号]
Mail Magazine

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「だから開けないでって、
言ったのに (By 乙姫)」

筆者の郷里、京都府丹後地方には浦島伝説(丹後国風土記)があります(日本全国では数十の伝説があるそうです)。 乙姫様の忠告を守らずに玉手箱の蓋を開けてバッドエンドになってしまったように、世の中には絶対に開けてはいけない蓋が多々あります。 分析用カラムの蓋(我々は“エンド”と呼んでいます)もその一つです。なぜかというと最密な状態でカラム管に詰まっている充填剤が開けた拍子に エンド(蓋)のフィルターなどに付着し、一緒に剥がれて、結果的に空隙(空間)がカラム管内に出来てしまい、 これによって最密な状態が破壊されてしまうからと考えています。

今回の「よいマネ」は、幾分使い込んだCHIRALCEL OZ-Hカラム(φ0.46×25cmL)を用いて “蓋(エンド)開け実験”を行ってみました。

蓋開け前の性能(初期性能)

まずは、いつものように実験(蓋を開ける)前の初期性能を見ました。分析条件は以下の通りです。クロマトグラム、理論段数(N)、ピーク対称性(Ps)を示しています。

こんな感じです。

丁寧に開けてみた。

1回目は、そろ~と、かなり慎重に開けてみたところ、“2割程度の段数が低下しました”。 実は、もっともっと悪くなるのかな、と思っていたのですが…。 たまたま開けた人が、 “すっごく上手に開けてしまったのでしょうか??”… でも明らかに段数の低下、ピーク対称性が大きくなりましたね。

すっごく上手に開けられたカラム

乱暴に開けてみたッ!

そこで、次に “あっ 間違って蓋開けてしまった” の態(てい)で、普通に、ちょっと乱暴に開けたところ、今度は予想(期待?)通り、がっつりと充填剤がフィルターにくっ付いてはがれてしまい、見るも無残なクロマトグラムになってしまいました。

がっつり充填剤がくっ付いてこぼれました。

まあ、こんなに充填剤が無くなると、そりゃあ、そうなるでしょうね。やっぱり、これが普通に蓋を開けた時に起こる結果と思います。さすがにこうなっては分析用カラムの修復できません。実験体となった、このカラムのご冥福をお祈りします、なむ~。

⇒ どうしても中が見たいと思っても、どうか皆さま絶対に蓋を開けないでくださいね。

★まとめ

やはり分析用カラムの蓋(エンド)は絶対に開けてはいけないことが確認できました。
『えっ、そんなことは最初から解っているって…』 まあまあ、そう言わないでください。技術者は自分の目で見ての確認が大切ですので。 1回目の慎重な蓋開けの結果には、ちょっと意外でした(驚きました)が、これも実際にやってみないと、わからないことですよね。
ちなみに数ある浦島伝説の中には玉手箱の蓋を開けて鶴になって飛んで行った、とか、その鶴と亀とが結ばれた、など必ずしもバッドエンドにならないものもあるらしいのですが、 分析カラムの場合は、間違いなくバッドエンドが待っているので、絶対に開けないでくださいね。

ファーマテックBU ライフサイエンス研究開発
センター長 大西(あ)
協力:同・研究開発センター 元田、
ファーマテックBU開発生産課 谷

妙高市から「安心と信頼」を世界へ!
(ファーマテックBU 生産計画部 益田)

カラム梱包室では、ダイセル物流(株)の構内物流Grで、全ての梱包・出荷作業を行っています。新井工場(新潟県妙高市)では、多くの品種や数量のカラムを製造し、全てのカラムを検査した後、梱包室で保管、梱包・出荷しています。
日本国内はもとより、北米、欧州他、成長著しいインド・中国・ASEAN諸国等、全世界に向けて製品を供給しています。カラムの品種は、いわゆる売れ筋が40品種、その他品種トータルで約500-600品種程という多品種に対応しています。
国内のお客様、他海外拠点からの注文に応じて、対象カラムのピッキングを行い、化粧箱という青色の製品箱に梱包し、様々なご注文に対応した出荷を行います。指示されたラベルを発行し、1箱に対し1枚ずつ貼り、製品、チャート、取扱説明書を各棚より取り出し、予めラベルが貼られた化粧箱に入れ、一つ一つ丁寧に梱包しています。

ラベル、カラムタグ、チャート、取扱説明書の4点をセットとし1つ1つQRコードをスキャンし間違いが無いか、チェックを行います。 ミスがあった場合エラー表示になり先に進む事が出来ない為、誤出荷防止対策になっています。
このようにカラム梱包室は工場の最終確認場所であり、1文字1文字を細かく確認しています。もしここで確認が漏れてしまえば、国内のお客様ないしは、海外拠点に間違った製品が届いてしまい、 今まで培った信頼はすぐに失墜していまいます。そうならないよう、梱包チェックシステムを活用しながら、手際よく確実な梱包・出荷作業を遂行しています。 多品種少量品のカラムでも、確実な運用が持続的に出来ているからこそ、安心と信頼を世界中のお客様より得ている、そんな出荷梱包作業者のルーチン業務は、構内の一工程とはいえ、 キラルカラムの事業成長に貢献していることを皆様に知って頂きたく、御紹介させて頂きました。今後さらなるグローバル需要の高まりに応じてカラム供給本数が増える事が想定されますので、 生産計画部としても、現行運用の丁寧さや確実さを維持しつつ、一方で作業負荷削減の観点も考慮し、業務改善化を推進しているところです。

私たち学会発表(対面開催)します。
(ライフサイエンス研究開発センター)

対面で開催される学会が増えてきましたね、また皆さまにお会いできると思うとワクワクします。
(その1) ”Symposium on Molecular Chirality 2023”が6月15日から16日にかけて北海道大学フード&メディカルイノベーション国際拠点(FMI、札幌)において開催されます (Molecular Chirality 2023 (ec-mice.com))。 本シンポジウムは非常に幅広い分野の中から“キラリティ“に特化し、さらに進展を続ける”キラル科学“を題材に30年以上にわたって行われています。 当社もシンポジウムの創設当初から参加し続けており、今年もポスター発表(演題:耐溶剤型キラルカラムCHIRALPAK® IMの高い不斉識別能力)を行います。
(その2) 国内最大のクロマトグラフィーとその関連技術に特化した学会、クロマトグラフィー科学会が主催する“第30回クロマトグラフィーシンポジウム” (第30回クロマトグラフィーシンポジウム (gifu-u.ac.jp))が6月28日から30日にかけて岐阜大学にて開催されます。 ここでは口頭での技術講演とポスター発表を各1件行いますが、どちらも“新規な双性イオンポリマー型固定相の分離応用例”に関する内容で、 キラルクロマトではありませんが、最近話題の中分子化合物分離に関する話題です。