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Chiralscreen®の使用方法
How to use
スクリーニング
1. 添付試薬を水に溶解します
水は、イオン交換水以上のグレードを推奨します。
2. 溶液を酵素のボトルに分注します
10回用のキットをお求めいただいた場合は、酵素を適当な容器に5mgずつ秤量し、1. の溶液を1mLずつ分注してください。
3. 基質を分注します
スクリーニング時の標準的な基質濃度は0.2~1%です。
基質が固体で分注しにくい場合や水に対する溶解度が低い場合は、2-プロパノール、ジメチルスルホキシドなどの溶液にして分注することも可能です。
その場合は、反応液中の有機溶媒濃度が5%以下となるようにしてください。
4. 数時間~終夜、室温(20~30℃)で反応します
基質が完溶していない場合は、撹拌あるいは振盪した方がよい結果を得られます。
水浴やインキュベーターで温度を一定に保つことで、再現性が向上します。
5. 必要に応じて反応を停止します
抽出を行う場合は、有機溶媒を添加することで反応が停止します。
水溶性のある有機溶媒、酸、塩基などの添加によっても反応を停止させることができます。
これらの操作により、不溶物が発生する場合があります。
その際は、フィルターろ過、遠心等で不溶物を除去してください。
6. 必要に応じて反応を停止します
HPLC、GC等、適当な方法で分析を行い、光学純度と変換率を評価します。
酵素選択フロー
酵素の選択は、下記フローに従います。
酵素の位置選択性、立体選択性は、酵素本来の性質に依存するので、大幅な改善は困難です。しかし、反応性は反応条件で向上する可能性がありますので、スクリーニングの結果、
- ①選択性が高いけれども反応性が低い酵素
- ②選択性が低いけれども反応性が高い酵素
があった場合は、(1)の酵素を選択することをお勧めします。
また、選択性の高い酵素が複数あった場合には、さらに負荷試験などを実施することで最適酵素の選択を行います。
負荷試験
基質濃度の見極めや最適酵素の選択のために、負荷試験を実施します。 負荷試験とは、酵素濃度を一定にし、基質濃度(負荷)を上げて限界基質濃度、基質あるいは生成物阻害の程度などを見るものです。 方法としては、主に以下の2つが考えられます。
- ①酵素濃度を固定し、基質濃度を段階的に上げた反応液で一定時間反応後に分析を行い、基質濃度の上限や選択性の変化の有無などを見ます。
- ②目標基質濃度を固定し、酵素濃度を段階的に変化させた反応液で一定時間反応後に分析を行い、反応が終了する酵素濃度を見ます。
(1)の方法で実施した場合、通常は、図1のようにあるところで生成物の濃度がほぼ一定になります。
これが設定した反応条件(主に酵素濃度、反応時間)での最大蓄積濃度です。
ここで、図2のように、高基質濃度の場合に生成物蓄積濃度が極端に低下する場合には、基質阻害が考えられます。基質阻害がある場合は、基質の連続添加・逐次添加等で系中の基質濃度を低く保つことにより、生成物蓄積濃度が改善する場合があります。
スケールアップ検討
反応条件に影響を与える因子は複数ありますが、主な因子は
- 反応温度
- 反応時のpH
- 基質濃度・酵素濃度・補酵素濃度
です。
但し、酵素は常温・常圧、中性付近の水中で活性を有し、ここから極端に外れた範囲では活性を失います。
従って、通常の有機合成反応と比較すると温度条件検討範囲は狭く、一般的には20~40℃の範囲で検討します。
pHは、至適pHと管理範囲を見る必要があります。補酵素系を導入している場合はギ酸が酸化された二酸化炭素の系外への排出やグルコースの酸化によるグルコン酸の生成によって、アセチルアミノ酸の加水分解の場合は酢酸の生成によって、など、pHが変化する場合があるからです。
反応中のpH変化が管理範囲を超える場合は、pHのコントロールやバッファーを高濃度にするなどの対応が必要になります。
補酵素濃度は一般的には高い方が反応が進みやすいですが、コストに大きく効く要因なので、最小濃度の検討をお勧めします。また、補酵素は比較的不安定なので、追加添加なども効果が見込めます。
基質濃度と酵素濃度は、基本的には負荷試験で得られた限界濃度を用いますが、補酵素濃度によっても影響を受けます。
その他、撹拌強度や補酵素再生基質の等量数なども必要に応じて検討してください。
精製方法
抽出が可能なものであれば、有機溶媒で抽出がもっとも簡便な精製方法です。
有機溶媒の添加によって、タンパク質が中間層を形成する場合があります。
中間層が分液を阻害する場合には、ろ過助剤などの添加が有効です。
その他、濃縮や貧溶媒の添加等による晶析、クロマトグラフィーなど、通常の方法が適用できます。
酵素反応系に由来する成分の除去に対する特別な操作は、一般的には不要です。
コマーシャルスケール
酵素反応は常温・常圧で反応を行うため、伝熱や液深による影響を受けにくく、比較的スケールアップは容易です。
バルク量の酵素の場合、コストダウンのために粉末状酵素の代わりに液状酵素、あるいは酵素生産菌へのスイッチも可能である場合があります。
触媒の変更を行った場合、触媒の保存方法、不純物のプロファイルが変わる場合があります。
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